脂肪注入豊胸の最新情報②~乳がん後の乳房再建で、脂肪をどう活かす?~

乳がんは、女性のがんの罹患率としては第1位であり、ここ最近は特に関心が高まっています。
乳がんの手術治療の進歩は目覚ましく、その目的は、今やがんを治すだけにとどまりません。QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の観点から、手術後の乳房の見た目・形をも重視する治療(いわゆる乳房再建治療)が盛んになりつつあるのです。
以前は乳がんの根治性と、乳がん手術後の整容性は相反する概念だったかもしれませんが、最近では、乳がんの手術(術中、または術後)に形成外科的手術を加えることで、これらを両立させることが可能になってきました。
法整備も進んでいます。2013年7月、乳房再建用インプラントとエキスパンダー挿入術が日本で保険適応となりました。これを受け、わが国でも乳がん手術後の乳房再建を希望される方が増えてきています。また最近では、乳房インプラント以外にも、自分自身の脂肪を活用する乳房再建手術が試みられるようになってきており、話題を呼んでいます。
今回は、過去2,600例以上でCRF(コンデンスリッチファット)による脂肪注入豊胸(うち約600例は乳房インプラント抜去と同時)の実績がある当院の立場から、乳がん後の乳房再建について考察します。脂肪を活用した乳房再建手術に関する最新事情です。

乳房再建でも期待が高まる“脂肪注入豊胸”は
いつから行われていたか?

まず簡単に、脂肪注入豊胸の歴史を振り返りましょう。下記の年表をご覧ください。米国における、過去30年間の状況の変化が記されています。
こうして見ると、米国でも脂肪注入による豊胸、そして乳房再建が技術(医学)の進歩とともに急激にポピュラーになり、市民権を得てきたことがよく分かります。

■脂肪注入豊胸の歴史(米国)
脂肪注入豊胸の最新情報②

※1 ASPS:米国形成外科学会
※2 PRS:世界的に権威のある形成外科雑誌
※3 BRAVA:陰圧をかけ、バストの皮膚や組織を伸ばして大きくする装置

乳がん後の乳房再建の分類方法

乳房再建術は、時期、回数、方法で分類できます。

タイミングと回数で分類

タイミングであれば一次と二次。再建が完成するまでの回数であれば一期と二期に分けられます。

一次再建:乳がんの手術と同時に再建
二次再建:乳がんの治療がひと段落してから再建
一期再建:1回で再建手術が終了する方法
二期再建:2回で再建手術が終了する方法

例えば、乳がんの手術と同時に再建手術を行い、その後時間をおいてもう一度再建手術を行う場合は「一次二期再建」という言い方をします。

 再建方法で分類

乳房再建の方法には、自分の組織(皮弁や脂肪がその代表)を使う方法と乳房インプラント(俗にいうシリコンバッグ)を使う方法があります。
ほんの最近までは、乳腺弁脂肪筋膜弁、筋皮弁といった、自分の組織を移動させて再建に用いる方法が、乳房再建の主流でした。しかし2013年、乳房インプラントとエキスパンダーが保険適応になって以降、乳房インプラントを使った下記2通りの再建手術が急増しています。

【再建法1】
乳がん手術と同時に乳房インプラント(シリコンバッグ)で再建を行う。
→一次一期再建で乳房インプラントを挿入

【再建法2】
乳がん手術時(一次)又は、乳がん手術後しばらくして(二次)まずエキスパンダー*を挿入した後、乳房インプラントに入れ替える。
→一次二期か、二次二期で豊胸インプラントを挿入

乳がん後の乳房再建での、乳房インプラントの限界

乳房インプラントはその素材、テクニックともにとても優れていますが、血流がないものなので、どうしても不自然さが残ります。
かといって、皮弁手術は大掛かりな手術になったり、乳房以外の場所に傷がついたりといったデメリットも多くありました。そこで(吸引)脂肪の出番となります。

脂肪注入法は、乳がん後の再建治療でどう使われているか?

吸引脂肪とは、脂肪注入に用いる塊ではない脂肪です。
正直数年前までは、脂肪を注入しても体内では生き残らない、と考えられていましたが、最近になってとても優れた方法の一つとして見直されています。(上記米国の歴史参照)
乳房再建での脂肪注入法の用途として考えられることを以下に挙げます。これらの治療は、実際の臨床でもすでに行われています。

部分切除後、陥凹の整容

乳房の変形、窪みに対して脂肪注入を行うことで、乳房の形を整えます。

乳房全摘後、二期再建に伴う整容

インプラントは自分の組織ではないため、どうしても不自然さが残ります。それを部分的、または全部脂肪に変えるという方法です。具体的には、次の4 つのやり方があります。

■二期再建後のインプラントの整容(インプラントはそのままで、インプラントのエッジ、デコルテ部分へ注入し、より自然な触感や形にする)
■二期再建後、インプラントは小さなインプラントに入れ替えると同時に、インプラント周囲に脂肪を注入
■二期再建後、インプラント抜去と同時に脂肪を注入
■二期再建の際、エキスパンダー抜去と同時に脂肪を注入

組織の肥沃化(放射線療法後、皮膚の状態の改善)

上記の2つに加え、最近注目されているのが組織の肥沃化です。肥沃化とは、乳房内の脂肪幹細胞を増やすことで、血管新生、コラーゲンの再生などをうながし、組織を正常な状態に近づける治療です(特に放射線医療後は皮下組織に脂肪幹細胞が少ない状態になっています)。
この治療法は、脂肪の活用法として、今、最もホットな話題の一つです。

なぜ、乳がん後の再建治療で脂肪が有用か?

乳がん後の再建治療で脂肪注入法を用いる意義は何でしょう?
それは何と言っても、シリコンバッグでは決して叶わない、柔らかくて温かな感触が得られるということです。脂肪は血液が通った組織ですから、その触り心地の良さは人工物をはるかに上回ります。
こうした効果を得るには、しこりを作らず、できるだけ高い定着率を維持することが大切です。そのためには、次に挙げる3つの工程のすべてを、より高い技術でこなす必要があります。

3つの工程とはすなわち

①脂肪採取
②採取した脂肪の処理(注入脂肪の精製)
③適切な方法に則った脂肪注入

です。

いくら脂肪注入という“選択肢”が良かったとしても、それを行う技術が未熟だったり、裏付けとなる知識が正確でなかったりしたら、良い結果は得られません。
上記①~③に関する詳しい医学的技術(最新の医学論文の紹介を含め)に関しては前回のブログ
“脂肪注入豊胸の最新情報①~定着率を上げ、しこりや脂肪壊死を防ぐ4つのポイント~”
を参照して下さいね。

まとめ

最近は脂肪注入という技術が乳がん後の乳房再建に利用されはじめ、今後さらにポピュラーになっていくことが予測されます。そこで大切なことは脂肪吸引や脂肪注入の技術が関わってくるということです。施術を検討する際は、こうした脂肪の扱いを熟知したクリニックをご選択ください。
その点、THE CLINIC のドクターたちはいずれも、脂肪注入豊胸に関する高い知識と技術を習得したエキスパート。結果にはご満足いただけるものと自信を持っております。

培養幹細胞添付脂肪注入(セルチャー豊胸)による、再生医療の乳房再建も可能です。

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