脂肪定着には何が必要か:メカニズム

今日はバッグ取出しと同時のコンデンスリッチ豊胸手術とベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)の手術でした。手術は問題なく終わっています。お疲れ様でした。

 

さて、今日は「脂肪の定着」についてお話しします。

一時代前までは脂肪の生着と呼ばれていましたが、今は定着と呼ぶようにしています。

理由は脂肪を注入した際に、それが生き残るメカニズムが解明されてきたからです。以前の生着の意味は注入した脂肪がそのまま生き残るといった意味ですが、最新の研究では、注入した脂肪自体が生き残るのはほんの少しで、脂肪幹細胞(ADSC)が、注入した脂肪細胞が死滅した際に発するシグナルを基に、脂肪細胞に進化成熟すると考えられています2)。また、このADSCは毛細血管壁にも変化でき、注入した脂肪への血液供給の役割を担うことがわかってきたからです。1)

よって、脂肪が定着するためには

①脂肪幹細胞を十分に含んでいること。

②元気(新鮮な)脂肪細胞を十分に含んでいること。(採取後、注入までに時間がかからないこと)

③シグナルは体内で発せられるべきで、死滅した脂肪細胞は事前に取り除いておくこと。

④血流が豊富な組織に注入すること

⑤ブロック(塊)で注入せず、周りからの酸素(血液)を十分取り込めるように分散して注入すること

⑥圧が加わらないこと(簡単に言うと息ができない)

⑦同じ場所に多く入れ過ぎないこと(簡単に言うと、ギューギュー詰めで息ができない)

⑧細胞外マトリックス(足場:scaffold)を多く含んでいること(洗い流したりしない事)

・・・・などが大切です。

CRFはそういった意味で①②③⑧を十分にクリアーしており、④⑤⑥⑦はドクターの技術で大きく左右されます。

 

今まで脂肪壊死(高熱や激痛)や大きなしこり等もこれらをクリアーしていないことによるものです。

正しいメカニズムが分かってくると、今まで積み重ねてきた技術が証明されたり、時には裏切られたりしますが、それをいち早く取り入れ、熟練した技術をもって、提供するのが我々の使命だと考えています。

※今日ご紹介した内容はコラム「脂肪注入豊胸の定着率に関するQ&A」でもわかりやすくご紹介しています。ぜひご覧ください。

今日も手術をなさって下さった方、そして手術に携わってくれたスタッフに感謝です。

 

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