ベイザーリポのメリットと歴史

今日はコンデンスリッチ豊胸と、乳房の形の修正(ダブルバブルの修正)+背中のベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)の手術でした。手術は問題無く終わっています。お疲れ様でした。

今日の方の様に背中などは硬い繊維組織が豊富な組織です。つまり、繊維質の網(ネット)が硬く、強く、その中に脂肪が密集している感じです。こういった組織の代表は背中や上腹部、太もも外側、太もも前、ふくらはぎや足首、二の腕上外側部(付け根あたり)、胸(女性化乳房)、そして全ての部位に該当する再手術等になります。

こういった硬い組織を従来の脂肪吸引で吸引しようとすると、無理やり脂肪組織をはがす(引きちぎる)事になりますから、出血もしますし、デコボコなどのトラブルも多く、ダメージも大きいです。というより、正直上手く取ることができませんでした(少なくとも綺麗に多くは取れない)。

また、従来の脂肪吸引にはもう一つ、大きな問題がありました。それは皮膚の収縮力が悪く、たるみが強くなる傾向にあるという事です。

そこで登場したのがベイザーリポ(第3世代の超音波)です。

さて、第一世代、第2世代はどうだったのでしょう? 旧式の超音波脂肪吸引は、脂肪細胞を破砕し乳化させ、吸引を容易にし、より侵襲性の低い脂肪吸引を目的として作られました。しかし、これら昔の超音波は、長時間の使用や、皮膚に近い脂肪に対してはエネルギーが強すぎ、火傷や皮膚壊死などの問題が多く見受けられました。これらの旧式では少なくとも肌を収縮させる技術(スーパーフィッシャルリポサクション)を行うにはエネルギーが強すぎました。

 その後、Jewellらは第3世代の超音波、つまり、チタン製でグルーブの付いた断続性モード(pulsed mode)を利用した、低いエネルギーで高い効果が得られる細いプローベ(vibration amplification of sound energy at resonance: VASR)にての臨床応用を初めて発表しました。つまり、ベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)の誕生です。

 このベイザーリポは組織に対し、熱を発しにくいことが最大のメリットです。(原理は振動でマイクロバブルを作り、脂肪細胞と結合組織、脂肪細胞と脂肪細胞の結合を弱くします)

この特徴を生かす事で、安全に皮膚の収縮を促すことができ(前記:スーパーフィッシャルリポサクション)、今ではベイザー4Dを含め、ボディデザインが容易にできる様になりました。

ベイザーリポの開発以来、そのメリットの関しての報告は数多く出ています。例えばGarcia とNathanが2008年にベイザーリポが超音波なしの脂肪吸引と比較し、VALによって吸引脂肪中の血液濃度が6.5分の1に減ったと発表していますし、NagyとVanekはベイザーリポによる皮膚の収縮力が従来の脂肪吸引よりより53%高くなることも立証しています。

・・・ただし、きちんとした方法や技術を用いないと火傷等の合併症も起こり得ますし、皮膚も上手く収縮してくれません。

また、ベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)を用いても脂肪細胞、脂肪幹細胞の活性化が下がらないといった報告が最近多く出ています。

例えば、Penettaらは2009年にベイザーリポで採取した脂肪から抽出した脂肪幹細胞と従来法で作成した脂肪幹細胞は骨化に影響しないと報告していますし、ValeroはVAL(ベイザーリポ)では病理上、脂肪細胞膜が壊れていない組織像を示し、さらにFisherらは2010年のAmerican Society of Plastic Surgeons Annual Meetingでもベイザーリポで採取した脂肪注入の良好な成績を示しています。

よって私たちは、このベイザーリポを用いてたくさん脂肪を採取し、脂肪注入(例えば豊胸:コンデンスリッチ豊胸)の材料としています。つまり、このベイザーリポを上手に利用すれば、(出血など少なく、仕上がり良く)たくさんの脂肪が採取できますから、痩せた方への脂肪注入の際の脂肪採取にも好都合です。

良い機械が開発されると、いろんな良い事がありますね。

今日も手術をなさって下さった方、そして手術に携わってくれたスタッフに感謝です。

 

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