シリコンバッグ外来

今日はバッグ(乳腺インプラント)取出しと同時のコンデンスリッチ豊胸の方と、通常のコンデンスリッチ豊胸の手術でした。手術は問題なく終わっています。お疲れ様でした。

さて、今日の患者様もそうだったのですが、インプラントを長期間入れていると、皮下組織は薄くなります。また、乳腺も圧迫され上に圧排されている場合がほとんどです。

当院では、必ず術前に乳腺用エコーにて、乳腺のスクリーニングとバッグの状態を確認します。そのため、皮下どのくらいにバッグがあるか術前に把握できるんですが、バッグ除去(摘出)を希望なさる方の約半数で、薄い場所なら皮下5ミリ以内、それ以外でもほとんどが7ミリ以下にバッグが存在します。

一番薄くなりやすい場所が、大胸筋に覆われていない乳房の下外側で、その場合は時には2~3ミリくらいの厚さしかありません。当たり前ですが、そういった方は、皮膚から直接バッグの存在(リップリング:波打つ状態)が簡単に確認できます。

皆さんが想像しているより、遥かに薄いと思います。

上記の様に、乳腺は上方に圧排されていることがほとんどですし、大胸筋も上半分の方が厚いですから、乳輪より上はやや厚みがあります。

しかし、バッグを抜去すると数ミリ下は肋骨の層ですので、仰向けになった場合、乳輪より下は窪んだ感じになってしまいます。

つまり、術前のバッグの状態と比べると、かなりショックです。

ほんの数年前までは(少なくとも約10年前は)バッグの抜去と同日の手術は難しい(不可能に近い)とされていました。理由はコンデンスリッチファット(CRF)のような質の良い脂肪もなかったですし、正直今のコンデンスリッチファット抽出プロセスのようにクローズドシステム(密閉操作)ではありませんでしたので、コンタミ(不純物が混じること)も多く、感染のリスクも高かったからです。

つまりその時代は、バッグを抜くと再度バッグを入れ直すか、しばらくそのまま凹んだ状態で過ごしてください・・・という方法を取っていました。

また、もう一つ、バッグを抜いたスペースはしばらくすると癒着すると考えられていました。これも今では間違った認識です。以前はバッグの表面がつるつるのスムースタイプが主流でしたので、カプセル内もつるつるの状態です。

すると、バッグを抜去してどのくらい経ったら癒着するかどうかは不明です。実際、数年前までバッグが入っていた(抜去して時間が経っている)という方のコンデンスリッチ豊胸を手掛ける機会も最近増えてきましたが、かなりの確率でその層は閉鎖していません。

ただ、そう考えられていたので、これまではバッグ除去と同時の脂肪注入は避けられてきたのですが、今では当日の手術が当たり前になってきました。逆に当日でないとその空いたスペースに脂肪が注入されることも考えられ、するとその脂肪は壊死に陥り、感染源や大きなしこりの原因にもなります。そのため当院では、今は積極的にバッグ当日に脂肪の注入を行います。

理由は、バッグを抜去した直後は少なくともその取出した傷がありますから、カプセル内への注入が防げますし、もし流入しても、綺麗に洗浄可能です。さらに。今では質の良い脂肪(CRF)がありますから、上記、バッグを抜去後の数ミリの層に注入しても(万遍なく注入出来れば)定着しますし、大きなしこりもできません。

多少の経験が必要ですが、やはり、手術をお受けになる方のメリットを考えると、同時手術が優れていると考えています。

今日も手術なさってくださった方、そして手術に携わってくれたスタッフに感謝です。

 

文献

  • 1)大橋昌敬. 乳房再建における脂肪注入の可能性を探る-その臨床と基礎-人工乳房後遺症に対する脂肪注入による再建 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会 ランチョンセミナー 1-1 抄録
  • 2)大橋昌敬, 山川雅之.加重遠心分離した自家脂肪を用いた豊胸術(コンデンスリッチ豊胸):642例の短期成績;特に注入後のバストサイズの変化に関して.日美外会誌 2013; 第49巻:148-156
  • 3)大橋昌敬, 山川雅之.  乳房インプラント抜去と同時の脂肪注入(コンデンスリッチ豊胸)165例の臨床成績 日美外会誌 2013; 第49巻 1号:p90(抄録)