シリコンバッグ外来

今日は破損しているシリコンバッグ抜去と同時の脂肪注入(CRF注入)とベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)の手術でした。手術は問題なく終わっています。お疲れ様でした。

破損したバッグのトラブル報告はたくさんあります。一般的にはカプセル拘縮(変形や硬さ)、感染等です。やや高度の合併症なら皮膚の壊死(圧迫による)等でしょうか。

しかしその中で、最近気になった医学誌の記事がありましたので、その報告を含めお話しします。

その報告は有名な形成外科雑誌、PRS( Plastic  Reconstructive Surgery)の2013年4月号に掲載された記事で、Nicolas RS, Ross DF らが著した

〝High-grade Angiosarcoma Associated with Ruptured Breast Implants”(破損した乳房インプラントに伴う血管肉腫(=悪性腫瘍))1)です。

今までの医学的認識(コンセンサス)としては、シリコンバッグは癌に影響しないというものでした。それがただ単に、(シリコン)バッグという意味ではなく、バッグ(乳房インプラント)の破損に関してもそうだと認識しています。

実際、少なくともメジャーな調査(13,500人以上8年以上)2)では乳房インプラント(破損の有無を問わない)挿入で長期予後に関して、癌に対するリスクが高くなる証拠はないという報告は有名です。

ただ、今回の報告でNicolas RS, Ross DF らは、乳房インプラントを受けた方は乳腺が小さいから乳癌のリスクが高くないはず等の、上記の調査報告(インプラントは安全)を疑問視し、1例の報告で乳房インプラントの危険性を主張しています。また、ラットの実験では高い可能性(35%)で破れた状態のインプラント(polymers注入後)は悪性化するので、注意が必要と主張しています。

私たち美容外科医、形成外科医には耳が痛い報告ですが、真摯に受け止める必要があるかもしれません。

今日も手術をお受けになった方、そして手術に関わってくれたスタッフに感謝です。

 

文献

  • 1)Nicolas RS, Ross DF,Ross Ferguson, et al. High-grade Angiosarcoma Associated with Ruptured Breast Implants. Plast. Reconstr.Surg. ;2013:PRS GO 2013;1:e11;doi:10.1097/GOX.0b013e31828ff1cb
  • 2)Brinton LA, LubinJH, Burich MC, et al. Cancer risk at sites other than the breast following augmentation mammmoplasty. Ann Epideemiol. 2001;11:248-256