シリコンバッグ外来

今日はバッグ取り出しと同時のコンデンスリッチ豊胸、そしてベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)の手術でした。

バッグ取り出しの方は術前のエコー検査で片方のバッグの破損が確認できており、もう片方は高度のカプセル硬縮でした。両側とも脇からバッグを取り出し、自然で綺麗な胸になりました。バッグは薄く石灰化を帯びており、中身の生理食塩水は黒く混濁していましたので、早めの取り出しで良かったです。

また、ベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)の方は決して太っている方ではありませんでしたが、太もも全周、臀部と腰、上腹部同時に行いました。今よりももっと細くという事で、肌のダメージが無い範囲内、美しいラインになる範囲内で可能な限り不要な脂肪を取っています。もちろんお尻も垂れないようにデザインしながら綺麗な形になっています。

仕上がりを楽しみにして下さい。

さて、今日はバッグ破損に関してです。

今日の手術の方は術前からバッグの破損が分かっていました。理由は片方だけ柔らかく、そして小さい、また、もう片方は硬く大きい状態ですので、ご本人も予想できたくらいです。術前のエコーで破損の確定診断を行い、手術もバッグの挿入場所(位置)に注意しながら、バッグを最小限のダメージでバッグを取り出しています。

なお、前述の様にバッグは薄く石灰化を帯びており、中の生理食塩水も混濁していました。バッグの中の生理食塩水は限りなく清潔な水であるはずですが、生理食塩水バッグは挿入部(傷)を小さくするため、バッグ(の外側)挿入後に生理食塩水を入れて膨らせます。おそらくこの際に少量の何か(血液等)が混入(コンタミネーション)したのでしょう。

その他、シリコンバッグが破損していると急激なカプセル拘縮や炎症による高度の石灰化、CMCバッグの破損の場合は急激な腫れ(CMCが水分を含み急激に膨らむ場合があります)等もあります。またとても稀ですが、(全ての種類のバッグに言える事ですが)破損が原因でバッグが折れ曲がり、皮膚から露出などもあります。(全て実際に私が外来で診た症例のみ記載)

バッグ(乳房インプラント)は優れたスタンダードな手術ですが、やはりリスクも伴います。

最も多いトラブルはカプセル拘縮(硬くなる)ですが、今回の様に破損による左右差、シリコンの漏れ出しによる炎症なども問題になってきます。

一方、コンデンスリッチ豊胸を含め脂肪注入による豊胸も脂肪採取(吸引)のトラブル、脂肪注入後の脂肪壊死や大きなしこり等の問題があります。しかし、脂肪注入はクリニック(術者)の技術で、そのリスクが大きく変わって来る(カバーできる)のが特徴でもあります。

バッグが破損した場合、バッグを抜くだけの場合、窪んでしまったり、胸の大きさの急激なギャップで精神的に大きなストレスを受ける方がほとんどですので、今までの経験上、(バッグ破損を放置する事は決して良くないでしょうから)何かで大きくした方が良い様に思います。

再度バッグという選択もありですが、その自然さからコンデンスリッチファットによる、(バッグ抜去と)同時の脂肪注入が最も喜ばれる様です。(ヒアルロン酸で置き換える事は脂肪が全くない人以外は行いません)

バッグ破損の場合、ただ単に抜去だだけではなく、最近はバッグの入れ替えやより自然な脂肪という選択肢も増えました。選択肢が少しでも増えるという事は良い事ですね。

今日も手術なさってくれた方、そして手術に携わってくれたスタッフに感謝です。

文献

  • 1)DanielA.Del Vecchio. ”SIEF"-Simultaneous Implant Exchange with Fat: A New Option in Revision Breast Tmplant Surgery. Plast.Reconstr.Surg. 2012;130:1187-2012
  • 2)大橋昌敬, 山川雅之. 加重遠心分離した自家脂肪を用いた豊胸術(コンデンスリッチ豊胸)642例の短期成績:特に注入術後のバストサイズの変化に関して.日美外会誌 2013; on press
  • 3)浅野裕子, 吉村浩太郎. 脂肪由来幹細胞を付加した脂肪注入移植術―乳房インプラント抜去と同時脂肪移植による豊胸術. 日美外会誌 2010; 第47巻:78-83